性的少数者LGBTの人達への差別をなくすため、LGBTの「理解増進」法案が、ようやく今国会で成立する運びになるかと思いきや、また頓挫です。理由は、法律の目的と基本理念に「性的指向及び性自認を理由とする差別は許されないものであるとの認識の下」などと加えることにした与野党の修正合意案に対して、自民党の保守系議員らが、差別は許されないという文言を入れると、差別についての訴訟が増えて社会が混乱するからというものでした。

 この理由を聞いて、愕然としてしまいました。そもそも、LGBTの人達が差別的なことを受けることは、許されない人権侵害であり、そんなことがまかり通る世の中であってはならないからこそ、このように法案にして、差別をなくしていこうと始まった議論のはずなのに、差別は許されないと謳ったら訴訟が増えて社会が混乱するから、そんな文言は入れるべきではない、なんていうのはどういう了見なのでしょうか。

 なぜ法案が必要なのか。それは、なかなかなくならない差別をなくすため。では、法案で差別をなくしていくためにはどんな内容にする必要があるか。それは、差別は許されないと明言すること。こんな、小学生でもわかりそうなことがスムーズに進んでいかない、低すぎる人権意識の的外れな議論に、心底うんざりです。