デンマークの大手製薬会社ルンドベック社が行った調査で、うつ病社員に対する企業の支援の満足度が、日本は圧倒的に低いという結果が出ました。この調査は、2013年から2014年にかけて行われたもので、先進主要16カ国に対して、16歳から64歳の会社員1000人ずつにそれぞれ調査したというものでした。

 まず、うつ病と診断されたことがある人の割合は、日本は10%で、中国、韓国に次いで3番目に少ない数値でした。最も高かったのはイギリスで、27%でした。そして問題なのは、管理職の人達が、自分の会社のうつ病にかかってしまった社員への支援策に対して満足しているか?という問いに対して、満足していると回答したのは21%で、16カ国中最下位であったことです。ワースト2は韓国でしたが、それでも47.1%あり、日本はそこからさらに大きく下回っているという結果でした。また、驚くことに、うつ病の同僚がいると知っても「何もしない」と答えた人が、日本は40%もいたということでした。

 この結果について、職場のメンタルヘルス対策の支援に注力している当センターとしましても、思い当たる風はあるなと感じました。労働安全衛生法の改正により、今年の12月から、50人以上の従業員がいる企業はストレス検査を実施するよう義務付けられましたが、実際の運用方法などについてまだまだ示されない点が多くあるためか、法的義務が課されることに対してでさえも、メンタルヘルス関連の話になると、対策への動きが鈍い企業がかなりあるように感じられてなりません。

 また、今回のこの調査結果は、管理職の人が不満と感じてしまうように、メンタルヘルス対策に関しては、やはりトップの意向により進められていくもので、管理職の人がどうにかしたいと思っても、経営陣が対処しようとしなければどうにもならないことを如実に表わした結果でもあると感じました。経営者の方には、従業員の健康こそが会社にとって一番の資源であることを強く認識してもらいたいと、改めて思いました。そして、それを敏感に感じられる経営者がいる企業こそ、明るい将来があり、展望が開けていくのだろうと思いました。その差は絶対に出ると、私は思います。