昨年、神奈川県川崎市にある聖マリアンナ医科大学病院で、精神保健指定医の不正取得が発覚し、23人が資格を失うという事件がありました。この事件を受けて、厚生労働省が調査に乗り出し、近年の指定医の症例報告を調べた結果、12都府県の26病院で問題行為が見つかり、医師が資格を取り消されることになりました。その数、実に89人! 数の多さに呆れかえるとしか言いようがありません。
資格を取り消された医師の問題行為の内容は、49人の医師が、自分が診療に深く関わったように装い症例数を水増ししていたというもので、40人の指導医が、その不正をチェックしていなかった為というものでした。さらに、調査が始まるや、自ら資格を返上した医師が6人いたということでした。それらの医療機関には、精神医療の中核病院や大学病院も名を連ねていました。
精神保健指定医というのは、最近ニュースで話題になった、自傷他害の恐れなどがある人を強制的に入院させることのできる「措置入院」の診断を下すことのできる資格になります。精神科医療においては、この資格が、精神科医としてのベテラン度を示すものと言っても過言ではありません。それが偽証されてたとなると、精神科医療は、何をどう信じていいのか、本当にわからなくなってしまいます。
実際、携わっているクライエントの診断名や治療内容などに、首を傾げたくなることはままありまして、今回の調査結果のような唖然とする事実を突きつけられると、そもそも医療行為自体がないがしろにされているのではないかという疑念を、ますます強めてしまいます。
だからこそですが、真摯に取り組み、勉強に励み、誠心誠意クライエントに向き合っていこうと、改めて心に誓いました。