8月31日(土)、9月1日(日)の両日、学校臨床心理士全国研修会という研修会があり、行ってきました。初日の基調講演では、九州大学の田嶌誠一教授が、「学校のいじめ、施設の暴力~それがつきつけているもの~」と題して講演され、この内容にとても衝撃を受けました。
学校のいじめが問題視されるようになったのは、大津の自殺事件があったことがきっかけでした。それ以降、学校のいじめ問題はマスコミでも大きく取り上げられ、文科省も全国的に調査を進めるなど、皆の関心を集めてきました。ただ、取り上げられるのは学校で起こっていることだけで、普段の生活圏でのことはそれほど目を向けられません。そんなこともあってか、田嶌先生の講演は衝撃的でした。
とくに心に残ったのが、児童養護施設や学校寮のいじめ・暴力についてです。このような施設は、一般的な家庭と比べて閉鎖性が高く、ストレスに満ちた生活をある程度の人数で共に暮らしていく場であるため、暴力は極めて起こりやすくなるということでした。これは子どもだけでなく、大人だってそうなってしまう環境だということです。暴力は、身体的暴力にとどまらず、性的暴力も横行しているのが実態であるということでした。
児童養護施設で暮らす子どもたちは、何かしらの理由で親とは暮らせずにここで暮らしています。理由の一つには親の虐待というのも当然あるでしょう。虐待は連鎖しやすいとよく言われますが、施設内で起こる暴力については、入所以前に虐待を受けていたせいで暴力をふるうようになるわけではないと田嶌先生は話しておりました。
田嶌先生の講演を聴いて、いじめ、虐待、暴力に潜む心の闇の深さについて、改めて考えてみたいと思いました。