精神科に入院している統合失調症患者の4割が、3種類以上の抗精神病薬を処方されているという実態が、国立精神・神経医療研究センターの研究により、明らかになりました。4種類以上を処方されている人も2割いるそうです。

 抗精神病薬は、幻覚や妄想などの症状を改善したり、感情の起伏を抑えたりする働きがありますが、一方で、のどの渇きや便秘、体重増加、認知機能の低下などの副作用が出現することがあります。また、肝機能や心臓などに負担がかかることがあり、その影響の度合いは、薬が1種類増えるごとに死亡リスクは約2倍にまで高まるとの研究報告もあるほどです。

 欧米の治療指針では、統合失調症の治療には、1種類の薬の処方が標準的であるとされており、3種類以上の薬を処方すれば効果が上がるとの科学的な根拠は、何一つ示されておりません。なのになぜ、日本の治療では、複数の薬を処方されている患者がこんなにも多くいるのでしょうか?複数の薬を服用する効果がはっきり示されていない以上、これは、治療者側の要因によるものと考えていいのではないでしょうか。

 「薬を使わずに」とは言いません。ただ、“適量である量の薬”で症状を改善していけるように、心理療法でお役に立っていきたいと、切に思いました。