厚生労働省が行った調査で、中高生の8%はネット依存であるとの結果が報告され、話題を集めました。中でもオンラインゲームへの依存が際立っているとのことで、不登校につながるおそれがあるとして、警戒感を強めています。

 確かに、不登校という問題は放置していいはずもないので深刻な問題であるといえますが、実社会においては、このネット依存が迷惑行為となって、すでに問題をもたらしているように思います。例えば、朝の通勤時の満員電車の中、どんなに押し合って混んでいようとも、平気でスペースを作り、携帯を操作していたりする人がいます。こんな状況でも携帯を操作しなければならないのだから、電車が遅れたとか、よほど至急で会社に連絡しなきゃいけないことでもあるんだろうなと思っていると、チラッと見えた画面にはパズルゲームかなにかの画像が。こんなことがしょっちゅうです。さらに、ゲームに夢中になって人の乗り降りを邪魔していても気づかなかったり、前を見ずに歩きながらして人とぶつかっても止めようとしなかったりなど、移動中こそがゲームのやり時と思っている人が非常に増えているように感じます。これこそが、依存の正体と言えるのではないでしょうか。そして、そうしている人のほとんどが、20代、30代の社会人です。

 そもそも、携帯向けゲームの最大の売りは、手軽にいつでも好きな時に楽しめるというものでしょうから、移動中のちょっとした間などはまさに好都合となるのでしょう。初めは本当に手持ち無沙汰だったから始めたはずのものが、やり始めたら止まらなくなる。そうなるように仕向けて作られたものなのですから、面倒でなければ誰でも容易に依存に陥ります。さらに日本人は、短い時間でもゲームを楽しめる性質を持った人種のようで、うまくマッチしたのでしょう。欧米では移動中にゲームを楽しむという習慣はないようで、やるなら家でじっくりやる、というタイプのため、某ネットゲームコンテンツ会社が欧米の進出を見送ったという違いもあるほどです。

 個人の趣味、楽しみをどうこう言うつもりはありません。しかし、社会生活で他人に迷惑となる行為をすることは許されることではありません。他人に迷惑をかけることは支障をきたしているといえます。支障をきたしていれば、障害としての依存症が疑われます。楽しみの度を越して、依存症に陥ってないか。見つめなおす目を持ってもらえるといいですね。